大型家電量販店が全国各地に勢力を拡大するなか、いわゆる昔ながらの「まちの電器屋さん」が上牧町内にあります。創業67年、上牧町に出店されてから48年もの間、長く地域に根差した経営をされている「まさご電機」さん。まさご電機さんのこれまでの歩み、企業理念、そして今後のビジョンについて伺いました。
新たなリーダーのもと
今回、取材に応じてくださったのは、北之坊克宏さん(28)。先代の後を継ぎ、昨年代表取締役に就任された三代目社長です。まさご電機さんは、現在、王寺町にある本店と上牧町片岡台にある「西和支店」の2店舗を経営されていますが、いずれも北之坊社長が生まれる前からあるお店です。大型家電量販店やインターネットで電化製品を購入できる時代に、今もなお必要とされている理由は何か―。
お客様に寄り添うこと
サービスを提供する上で心がけていること、それは「お客様に寄り添うこと」と北之坊社長は言います。一般的に考えれば、大量仕入れ・インセンティブのある大型家電量販店、運営コストの低いECサイトに販売価格で対抗するのは難しい。それによって淘汰された「まちの電器屋さん」がたくさんあるなか、まさご電機さんは、お客様・地域住民に寄り添い、「真の課題解決」につなげています。例えば、プリンターを買いに来たお客様がいた場合、いいプリンターを売るために案内・提案するのが大型家電量販店で、選択肢を示すのがECサイトだとすると、まさご電機さんの場合は、「なぜプリンターを買いに来たのか」というところから相談に乗るそうです。話を聞くうちに、原因が別にあって、プリンターを買う必要がなくなってしまったり、お客様宅まで見に行って、解決してあげたりすることもあるようです。その場合は当然、お店の売上にはならないのですが、こうした寄り添いを重ねていくことで、お客様からの信頼が生まれていることを窺い知ることができました。
世界的名機「テクニクス」
まさご電機さんでは、オーディオブランド「テクニクス」を取り扱われています。世界的名機と評されるレコードプレーヤーにはオールドファンがたくさんいらっしゃるそうで、お客様が自身のレコードを持ち込んで楽しめる「音楽視聴会」を年に2回開催(2020年度は新型コロナウイルス感染拡大の状況に鑑み中止)されているなど、特色ある催しを行われています。
高齢化社会・地域課題への対応
こうした音楽視聴会のほか、取り扱われているシステムキッチンを実際に使っての料理教室や創業周年イベントなど、お客様、地域住民のかたがたに喜んでいただける取組、地域活性に資する取組をされています。人口減少・高齢化の進行に伴い、まちの衰退、空き家問題をはじめ、様々な地域課題がありますが、事業者目線で地域課題の解決に寄与してくださっています。
「お客様に寄り添う」という企業理念は、昔ながらの「まちの電器屋さん」の良さでありながら、実は高齢化する時代に即したものなのではないか。自力で困りごとを解決するのが難しいかたが増えていますが、そうしたかたが、全幅の信頼を置いて安心して買い物ができるお店。
「安全・安心のまち」上牧町にとって、なくてはならない存在― それがまさご電機さんです。